耐薬品性Oリング・シール材

FKM・FFKMを中心とした高機能フッ素系Oリング・シール材。半導体製造装置や電子部品製造設備における腐食性ガス・薬液環境向けに、使用流体、ガス種、温度、圧力、寸法条件を確認したうえで、材質・硬度・形状を個別にご提案します。

装置の部位ごとに、材質を選び直す。

半導体製造装置のシール部は、同じ一台の中でも部位によって環境がまったく違います。SAINOは、使用環境と交換履歴から部位ごとに材質と形状を選定し、PMの周期に合わせて供給します。FKM・FFKMを中心に、図面・現物・型番のいずれからでもご相談いただけます。

なぜ部位ごとに選び直すのか

装置一台のシール部には、プラズマに直接さらされる箇所もあれば、冷却水やエアしか通らない箇所もあります。環境が違えば、必要な材質も、妥当な交換周期も違います。

しかし実際の部品表は、部位を問わず同じ高グレード材で揃っていることが少なくありません。これは不合理な判断ではありません。一度確定した仕様を変えるには評価の手間がかかり、万一の不具合は歩留まりに直結します。変更を提案する側が負うリスクと、変更によって得られる利益は、釣り合っていないのが普通です。

その結果として、見直しの余地が残ったままになります。SAINOがご提案するのは、安い材料への置き換えではありません。部位に合った材質を、根拠とともに選び直すことです。環境の穏やかな非プロセス部位から始め、プロセス部位については現状の交換周期と不具合の内容をうかがったうえで、変更の可否そのものから一緒に検討します。

部位別の考え方

代表的なシール部位と、材質・形状を決めるときに何を優先しているかをまとめました。装置の種類や工程によって条件は変わりますので、実際の選定は使用環境をうかがったうえで行います。

チャンバー蓋・ドアシール Chamber Lid / Door

真空保持/プロセスガスの間接曝露/開閉による繰り返し圧縮

シール性の維持が最優先になる部位です。開閉のたびに圧縮と復元を繰り返すため、へたり(圧縮永久ひずみ)の少なさと、断面形状・線径の選び方が寿命を左右します。大径品では、輸送・取付時の変形を避ける梱包方法まで含めてご相談ください。

スリットバルブ・ゲートバルブ Slit Valve / Gate Valve

高頻度の開閉/摺動/プロセス雰囲気

開閉回数が多く、へたりと摩耗が寿命を決めます。ウェーハの搬送経路に近いため、劣化した表面から出る粒子が直接影響しうる位置でもあります。耐久性と発塵の少なさの両方から材質を検討します。

シャワーヘッド・ガス導入部 Showerhead / Gas Inlet

プロセスガス/高温/プラズマ曝露

条件が最も厳しい部位の一つです。耐プラズマ性と高温での安定性を優先します。ここは材質を上げるより、交換周期を実態に合わせて見直すほうが結果的に安全で、総コストも下がる場合があります。現状どの程度の周期で、どのような状態で交換されているかをお聞かせください。

ビューポート・観察窓 Viewport

プラズマからの輻射/堆積物/温度差

表面の劣化が、視認性と発塵の両方に現れます。窓材との接触面での固着や、取り外し時の破損にも配慮が必要です。使用温度域と観察頻度を確認したうえで材質と硬度を選定します。

排気ライン・ポンプ周辺 Exhaust Line / Pump

反応副生成物/腐食性ガス/堆積

腐食と膨潤が主な劣化要因です。プロセス部位ほど高い清浄度が求められないことが多く、実際には見直しの余地が残りやすい箇所です。通過するガス種と、堆積物の性状をうかがって選定します。

ユーティリティ配管 Cooling Water / Air / DIW

プロセスガス非接触/常温〜中温域

過剰仕様になりやすい代表的な部位です。プロセスに直接触れないため評価の負担も比較的軽く、見直しの効果が確認しやすい位置になります。部位別の選定を始める際は、まずここからをおすすめしています。

選定で見る指標

耐薬品性はシール材の前提条件であって、部位ごとの選定を分ける指標ではありません。実際に交換周期と装置の安定性を決めているのは、次の項目です。ご相談の際は、これらについて現状をうかがいます。

発塵・パーティクル

劣化した表面から出る粒子は、ウェーハの欠陥として現れます。特に搬送経路に近い部位では、耐久性そのものより粒子の出にくさが優先されます。

確認したいこと:交換時の表面状態、粉状の付着物の有無、パーティクル起因の不具合履歴。

圧縮永久ひずみ(へたり)

開閉や着脱を繰り返す部位では、復元しなくなった時点でシール性が失われます。材質だけでなく、締め代と断面形状の設計も寿命に影響します。

確認したいこと:開閉頻度、溝寸法、取り外したOリングの断面のつぶれ方。

耐プラズマ性

プラズマに直接さらされる部位では、表面が荒れ、重量が減り、やがて粒子源になります。ガス種とプラズマの条件によって、適する材質は変わります。

確認したいこと:プラズマへの直接曝露の有無、ガス種、クリーニング条件。

交換周期と寿命

単価ではなく、交換周期と停止時間まで含めた費用で比べる必要があります。周期が短すぎる部位と、長すぎて不具合の原因になっている部位の両方があります。

確認したいこと:現在の交換周期、交換に至る判断基準、PMの間隔。

抽出物・不純物

薬液や高純度環境に触れる部位では、材料から溶け出す成分が問題になります。部位によって要求される水準は大きく異なります。

確認したいこと:接触する薬液の種類、清浄度の要求、洗浄・梱包の指定。

温度域と真空

常用温度だけでなく、クリーニング時やアイドル時を含む最高・最低温度が材質の選択肢を決めます。真空側では、低温での追従性が問題になることがあります。

確認したいこと:常用・最高・最低温度、真空度、昇降温の頻度。

対応材質

FKM(フッ素ゴム)

耐薬品性と耐熱性のバランスに優れ、装置のシール部で最も広く使われる材料です。ユーティリティ配管や排気ライン周辺など、プラズマに直接さらされない部位では、まず第一に検討する選択肢になります。グレードによって耐薬品性と低温特性の傾向が異なるため、流体とガス種を確認したうえで選定します。

FFKM(パーフルオロエラストマー)

高温、強酸、プラズマ環境に対応する材料です。チャンバー内やガス導入部など、条件の厳しい部位で使用されます。用途によって要求される特性が大きく異なるため、使用環境をうかがったうえで案件ごとに材質を選定し、供給します。SAINO独自シリーズは計画中です。

その他のエラストマー

使用環境によっては、FKM・FFKM以外の材料が適する場合もあります。条件をうかがったうえで、材質の選択肢そのものからご提案します。現在お使いの材質にこだわらず、部位の環境からご相談ください。

材質の切り替えについて

材質を変更する場合は、比較が成立する進め方をご提案します。交換周期の短い部位、または非プロセス部位から始め、同一条件で比べられるように一度に一つだけを変える。評価に必要な記録の取り方も、あわせてご相談いただけます。

対応形状

Oリング

JIS B2401、AS568などの規格サイズに対応します。型番が分かる場合は、その情報だけで手配に進めます。

ガスケット・パッキン

平面シール、角リング、Xリングなど。断面形状の選択を含めてご相談ください。

図面品・カスタム形状

規格外の寸法、異形品にも対応します。図面がない場合は、現物から寸法を起こします。

表面処理・洗浄・梱包

クリーンルームへの持ち込みを前提とした洗浄と梱包の仕様にも対応します。装置側の受け入れ基準があれば、あわせてお知らせください。

PM単位での供給に対応します

Oリングは一つずつではなく、定期メンテナンスの単位でまとめて交換されます。SAINOは、チャンバー単位・PM単位での一括手配に対応します。部位ごとに材質を変えた構成のまま、一式としてお届けします。

PMの予定日をお知らせいただければ、そこから逆算して納期を調整します。定期交換のサイクルが決まっている場合は、周期に合わせた定期出荷にも対応します。

一度確定した仕様は、型番・図面・材質とあわせて保管します。次回以降は「前回と同じもの」でご指示いただければ再手配できます。仕様に変更がある場合は、こちらから事前にご連絡します。

ご相談時に確認する項目

装置と部位
装置の種類と、シールが使われている位置。
流体・ガス種
プロセスガス、薬液、洗浄液の種類。プラズマに直接さらされるかどうか。
温度・圧力
常用・最高・最低温度、真空か加圧か。
寸法・規格
型番(JIS B2401、AS568など)、図面、または現物。
現状の交換周期と不具合
今どれくらいで交換しているか、どのような状態で交換に至るか。
数量と頻度
一回あたりの数量と、年間のおおよその回数。

ご用意いただくもの

図面、現物サンプル、現行品の型番のいずれか一つで対応を開始できます。図面がない場合も、現物や型番から仕様を整理し、装置に適合する部品・消耗品をご提案します。

図面・仕様書

PDF、DWG、DXF、STEP などをそのまま添付してください。

現物サンプル

使用済み品でも構いません。採寸・材質確認のうえ仕様を起こします。

現行品の型番

装置メーカー、機種、部品番号が分かれば、そこから調達ルートを検討します。

いずれか一つあれば着手できます。三つとも揃っている必要はありません。型番も図面もなく、手元に使用済みの現物しかない、という状態が最も多いご相談です。

お取引の流れ

  1. 1

    お問い合わせ

    装置・部位と、今お困りのことをお知らせください。

  2. 2

    使用環境の確認

    流体、温度、交換周期などをうかがいます。必要に応じて現物を拝見します。

  3. 3

    ご提案・お見積り

    材質と形状を、選定の理由とあわせてご提案します。

  4. 4

    初回納入・試用

    まず一部位・一台からの試用をおすすめしています。

  5. 5

    評価と仕様の確定

    交換時の状態を確認し、必要なら材質・形状を調整して仕様を固めます。

  6. 6

    再手配・定期供給

    確定仕様を保管し、次回以降は同一仕様で手配。PM周期に合わせた定期出荷にも対応します。

よくあるご質問

型番も図面も分かりませんが、対応できますか。

できます。使用済みの現物をお送りいただければ、寸法を起こし、使用環境とあわせて材質を選定します。劣化の状態そのものが選定の手がかりになりますので、洗浄せずそのままお送りください。

今使っているものと同じ材質で作ってもらえますか。

同一仕様での供給を基本としています。そのうえで、部位の環境と交換周期をうかがって、材質の見直しが有効と考えられる場合には、その根拠とともにご提案します。ご判断はお客様にお任せします。

材質を変える場合、どう評価すればよいですか。

比較が成立する進め方をご提案します。交換周期の短い部位、または非プロセス部位から始め、一度に一つだけを変えて同一条件で比べる。評価に必要な記録の取り方もあわせてご相談いただけます。

少量から対応できますか。

できます。まず一部位、一台からの試用をおすすめしています。いきなり全数を切り替える必要はありません。

在庫はありますか。納期はどれくらいですか。

使用環境によって適する材質が異なるため、受注生産が基本です。PMの予定日から逆算して手配しますので、日程が決まりましたら早めにお知らせください。規格サイズで型番が確定している場合は、より短い納期で対応できることがあります。

不具合があった場合はどう対応しますか。

現物を回収し、劣化の状態から原因を確認してご報告します。材質・形状・使用条件のどこに起因するかを整理し、次回の仕様に反映します。変更点は必ず明示します。

部位と、今の困りごとをお聞かせください

「この部位の交換が早い」「型番が分からない」といった状態からで構いません。使用環境をうかがったうえで、材質と形状をご提案します。

お問い合わせ・お見積り
  • 装置の種類・部位
  • 型番、図面、または現物
  • 流体・ガス種、温度
  • 現在の交換周期
  • 数量とPMの予定